(写真)補習校の入卒式
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日本人学校(全日制の教育施設)
最終更新: 2020年8月
CA | カリフォルニア | 西大和学園カリフォルニア校 |
IL | イリノイ | シカゴ日本人学校 |
NJ | ニュージャージー | ニュージャージー日本人学校 |
NY | ニューヨーク | ニューヨーク日本人学校 |
グアム | グアム日本人学校 |
参考: 「認定した在外教育施設の一覧」,文部科学省,(令和元年11月現在)
補習授業校
土曜・日曜・現地校の放課後を利用し,日本国内の学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設
授業時数や授業科目が日本人学校に準じているものも含まれる(準全日制補習授業校)
最終レビュー,全リンク確認済(2018年8月)
日本人学校・日本語補習学校について
日本人・日本語学校の違い
日本人学校 | 日本国内の学校と同様に全日制で毎日授業を行う学校 |
補習校(日本語補習学校) | 日本で使っている教科書を使って日本の学校の教育内容を学ぶところ |
文部科学省の認定を受け,日本からの派遣教員(管理職)と資金の一部を援助されます.
日本国外在住で,日本人・日本語学校の通うこどもの人数
日本国外に在住するこども | 概数 | 学校数 |
日本人学校に通うこども | 22,000人 | 89校 |
日本語補習学校に通うこども | 21,000人 | 201校 |
上記の学校に通わないこども | 37,000人 |
引用:「補習校で大丈夫ですか?」,佐々木校長先生の教育講演会,デンバー日本語補習学校,2016年10月
日本語補習学校(補習校)のアンケート調査から見えるもの 2020年1月
「補習授業校の特徴と意義」(末尾の参考文献)から (→は私のコメント)
補習校に子どもを通わせるかどうか考えるときに参考になりそうな意見(北米の補習校16校参加)をピックアップします.
・日本語力の保持や伸長がある.
・国語以外の学力向上: 例えば算数.数学の理解を深めることは現地校での自身につながる
→ 関連記事のPISA で日米のリテラシーの違いから,アメリカの現地校数学に加え,日本式(より系統的な体系の数学の教育カリキュラム)で数学を学ぶメリットは大きいと思います.
・同じ環境の子ども同士の学び合いや友情
・日本の文化や教育スタイルの学習
・保護者が主体となって行っている学校行事や課外活動.保護者の参画が,教育活動の充実の鍵を握っている.
サッカー,コーラス,剣道,書道,茶道などのクラブ活動を,保護者中心となって行っている補習校が複数ある.
補習校では学習効率を最優先して,個々の児童生徒能力やニーズに応じた個別指導だけをすることは必ずも期待されていないことがわかる.
むしろ日本につながりをもつ同年齢集団の中で学ぶことを通して,現代日本の子ども文化を体験したり,現地校のストレスを解消したりすることが期待されている.
(まとめ)日本語力や教科力の向上に加え,日本の文化を学び,日本人としてのネットワークやアイデンティティを高めていく.
→ 今まで14年補習校に通っていますが(3人のこども,1人は卒業し現在日本),正にそのとおりだと感じます.
補習校は「塾」のような詰め込み型施設ではなく,日本語,日本社会,日本文化について友達と一緒に,さまざま様々な体験をしながら,そして一緒に遊びながら学んでいくところだと思います.
このような貴重な教育の機会を多くの日本の子どもたちが体験できるよう,出きる限り〜受験のように試験の成績のみで児童・生徒を選別せずに,こども自身の日本語や日本文化への興味や学びのモチベーションを考慮して受け入れていくべきだと思います.
「グローバル人材としての基礎力育成のための実践と課題」(末尾の参考文献)から
・補習校の生徒こそグローバル人材の予備軍,グローバル人材育成の最先端にいる
・国際性や国際感覚に優れ,日本の国際化を進めていく上で推進力になる「国家の宝」
・複数文化の育成によって,科学的思考ができやすく,マイノリティの立場が理解できる.
・「キャリア講演会」で海外で活躍する日本人を招く.
・特別なことをしなくても,「補習校に課せられた教育を着実にこなすことが基本となってグローバル人材の育成につながる」
参考文献: 補習授業校児童生徒の学習状況調査等報告書(海外子女教育振興財団,2018年12月)
日本語補習学校の意義(私の考え) 更新: 2019年6月
私の子供たちはデンバー日本語補習学校(以下,補習校)に通っています.補習校はデンバーの南の方にあり,ボルダーからは車で約1時間かかります.今まで3人の子どもたちが補習校に通い,トータルで12年を超えお世話になってますので,昨年からボランティアで教育サポートをしています.
補習校では,基本的に日本の学習指導要領に沿った授業1週間分が1日(日曜日)に行われ,宿題がたくさんでます.子どもにとってはとても大変ですが,日本の学校,文化,社会システムの理解,社会性を身につける,とても良い機会にもなると思います.補習校で力をつけた日本語力を活かし,現地校で AP Japanese をとって,アメリカの対象大学のクレジットとすることもできます(授業料を安くする).
この補習校の良いところは,日本人でアメリカで活躍しているプロのスポーツ選手,アカデミー賞をとった芸術家が訪問し,児童生徒に体験授業をしてくれることです.また様々な分野で活躍している保護者専門家によるレクチャー,単元に関連した特別授業,キャリア教育も行われています.「本物」を体験できる素晴らしい機会が全ての児童生徒に無料で提供されています.日本の学校や他校にはない特徴です.
文科省の学習指導要領の改訂でも,論理的に考える力,様々な知識を結び付け問題を解決する力,それを発信する力が重要とされていますが,これから人工知能が人間の知識を凌駕する時代を迎えるにあたり,他者とのコミュニケーション能力は必須の能力となると考えられ,これはオンライン,家だけの教育(ホームスクール)では培うことができません.
それを裏付ける資料として,今後10〜20年以内に人工知能(AI)やロボットの置き換わりそうな職業,置き換わらそうな職業リストがあります(アメリカ労働省のデータ,702業種調査).その結果,小学校などの教師は,将来も必要となりそうな職業として示されています.
置き換わりそうな職業
職種 なくなる確率
電話により販売員 99%
データ入力 99%
銀行の融資担当者 98%
簿記・会計監査 98%
お売り点のレジ係 96%
一般事務員 96%
料理人 96%
給仕 94%
タクシー運転手 89%
置き換わらそうな職業
職種 なくなる確率
医師 0.4%
小学校などの教師 0.4% ★
マーケティング 1.4%
音楽監督・作曲家 1.5%
ファッションデザイナー 2.1%
エレクトロニクス技術者 2.5%
情報通信システム管理者 3.0%
大学教員 3.2%
弁護士 3.5%
5月末から始まるアメリカの現地校の長い夏休みには,家族で日本に一時帰国し,子供たちは,毎年,日本の学校に転入あるいは体験入学(日本の学校長裁量)していますが,補習校に通っていることもあり,日本の学校にスムーズに馴染むことができまています.夏に一時帰国する場合,英検を受けておくと,日本に進学,就職するときに役に立つかもしれません.私の周りでは,日本の高校1年生くらいから英検1級に合格しています.
補習校にこどもたちを入れる前は,日本語や日本の小学校の学習内容は,自分で家で教えれば十分と思っていましたが,今では,これは,自分にはとてもできなかったと思います.特に小学校後半〜中学校の年代は,親が教えるのはかなり厳しいと思います.補習校には文科省(外務省)からの資金的なサポートもあるため授業料は比較的安く,経験のある素晴らしい先生方が多いこと,同じような境遇の友達との出会いによる心の拠り所になる,など,メリットは数え切れないほど多く,補習校に通わなければ大きな「機会損失」になるところでした.
デンバー補習校では,高校生ボランティアシステムがあります.補習校の中学校卒業生や新しく日本からやってきた高校生が,補習校事務局と各学年の先生の指導の元で,クラス内でボランティア活動をしています.宿題チェックやテストの丸つけなどのサポートだけでなく,読み聞かせ,特別討論会,各種イベントなどにもサポートしています.このように,補習校の卒業生が元気に活躍しているのを見るとうれしくなります.これはボランティアをしている本人にとっても,将来,貴重な体験になることと思います.
最近の日本の大学(「日本の大学」)では,文科省のスーパーグローバル大学に選ばれた大学を主として,帰国子女枠(基本的に最低2年以上国外の学校に在籍(高3まで)),帰国生枠(基本的に6年以上国外の学校に在籍(高3まで))で受験資格が与えられる優遇された大学入試制度があり,日本の大学に進学するアメリカ生まれのお子さんもかなり多くなりました.ネットや書籍では分かりにくい入試制度についての情報が得られ,準備や実際の手続き,試験などの体験談をきくことができるのも大きなメリットだと思います.
私は,「グローバル人材」はこういう人,のように一定の型に押し込むべきではないと思います.アメリカに住んで日本とアメリカの異文化を長く体験している子どもたちはもう既にグローバル人だと思います.補習校に通う子どもたちが,「塾」とは異る「学校」での学び,さまざまな活動を通し, 自分の隠れた能力,本当にやりたいことに気付き,それを活かした型にはまらないユニークな「グルーバル人材」となって世界で活躍することを期待しています.
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