(写真)Temptop の Air Quality Monitor (左)と多機能空気モニター(右)
はじめに
空気の汚染度の測定は,2021年12月末のコロラド大火災 "Marshall Fire" の後に「多機能空気モニター」を使って頻繁に行いました.
コロラドでは,ここ数年,山火事の煙の流入が頻繁にあります.
そこで,空気の質を確認してから窓を開けておくかどうか決めるため,測定精度の良さそうな新しい PM2.5 と AQI モニター(Temtop社)で測定を始めたので紹介します.
→ 関連ブログ「山火事の煙がカナダからアメリカ北中部に流入中」
PM 2.5 大気汚染の測定
PM2.5 は,大気中に浮遊する小粒子状物質で,その大きさが 2.5µm (マイクロメートル)以下の粒子です.
その成分は,
- 炭素成分
- 硝酸塩
- 硫酸塩
- アンモニウム塩
- ケイ素
- ナトリウム
- アルミニウム
(環境省)
→ 「微小粒子状物質(PM2.5)に関するよくある質問(Q & A)」,環境省
PM2.5 は,流入した山火事の煙による大気汚染度を測定するとき,また,実際に近くで大規模な火事が発生した後,周辺に風によって吹き飛ばされた灰の成分による大気汚染度の1つの参考指標になると考えられます.
下の写真は,Marshall Fire(ボルダーカウンティー)の火災時の煙(避難命令発令直前に家のデッキから撮影)
家の外はキャンプファイヤーの不完全燃焼のような匂い,周辺全てが煙で覆われていました.
このとき,当時使っていた「多機能空気モニター」の二酸化炭素濃度がかなり上がっていて,息苦しく,倒れてしまいそうな感じがしれ,もうだめかも..,と思いました.
AQI (Air Quality Index)
AQI (Air Quality Index)は,EPA アメリカ環境保護庁(The U.S. Environmental Protection Agency)で開発された,空気の質を示す「指標」です.
この指標は以下のように分類されています.
→参照ページ Air Quality Index (AQI) Basics, AirNow
AQI と PM 2.5 の関係
AQI は先の図で表される「指標」ですが,PM2.5 に対応する AQI は,以下のように,PM 2.5 の測定値と関係づけられています.
PM2.5 の測定値は,マイクログラム / 立方メートル の単位.
1立方メートルの空気中に何グラム(マイクログラム)の PM2.5 粒子が存在するか(質量)を示します.
Temtop の Air Meter
アマゾン US で,PM2.5 測定器をレビューし,その中から,Temptop の製品が良さそう,と思い,以下の測定器を購入しました.
Temtopの中でも,比較的安いモデルです.
移動しながら測定できるモバイルタイプもありましたが,そちらは電池が充電後1日もたないので電池持ちがよいこのモデルにしました.
USB-C 接続で充電
この Temtopの Air Monitor,現在,最も汎用性がある USB-C 端子で充電するタイプです.
写真は2つの測定器の USB 接続端子部分で,左は古い多機能モニターで,右は Temtop の Air Monitor.
USB-C は汎用性があるので,付属のケーブルでなく一般のケーブルで充電できるので便利です(付属ケーブルをなくしても問題なし).
USB 充電するタイプの機械を選ぶとき,選択肢の中にUSB-C の接続端子がある場合は,汎用性のある USB-C にすべきだと思います.
近隣の測定値と比較
到着後,早速計測テスト.
PM2.5 測定値は 10.2マイクログラム / 立方メートル,それに対応する AQI は42と表示されています.
こと時,Air Now の Fire and Smoke Map で公開されている 近隣の測定値(距離 約1km の AirNow のPM2.5 測定点)は AQI 44 で,よく合っています.
気温・湿度測定値の比較
このTemtop のAQI モニターは,温度,湿度も表示します.
これらの値も別の温湿度計(写真左)と比較しました.
Temtop 29.1℃, 34.1%
温湿度計 29.5℃,31%
こちらも,安い測定器としては,とても良く合っていると思います.
他の測定器との比較
次に,古い「多機能測定器」と比較してみました.
比較したのは PM2.5 量
Temtop(左) 6.5 マイクログラム / 立方メートル
多機能測定器(右) 26 マイクログラム / 立方メートル
なんということでしょう..
古い多機能測定器は3倍以上の値を示しています.
この時の Fire and Smoke Map の近隣観測点のAQI 値は33なので,PM2.5 の値は,0〜12(μg/m3) の半分より多いくらいです.
このことから,PM2.5 値は 6~8 くらいと計算できるので,Temtopの測定値が真値に近いのに対し,「多機能測定器」の測定値には大きな誤差があることになります.
多機能測定器,古くなった(購入してから3年)ので測定精度が悪くなっているのかもしれません..
空気の質が良い状態
山火事の煙の影響がなくなったら,AQI は 1になりました.
この時の PM2.5 は 0.3 (μg/m3).
今まで AQI は常時10くらいあるのが普通かと思っていましたが..,このくらい少なくなることもあるようです.
終わりに
Temtop の Air Meter,近隣のFire and Smoke Map のAQI値と近い値を示しているので,PM2.5 のリアルタイムモニター用として十分使える感じです.
Temtop モニターですが,同僚が,ほぼ私と同じ時に別モデルを購入したそうです(2人で驚きました).
ただし,同僚は,一番高い多機能モデルを購入したとか..
彼は,ラドン計測器も,私のよりも高いハイエンドモデルを購入してました.
良い機会なので2つのラドン計測値を比較しました.測器検定?(→ ブログ「ラドンの測定値の比較(2種の測定器)」).
(アマゾン ジャパン) Temtop 空気品質モニターPM2.5 HCHO TVOC AQI
M10 プロフェッショナル 電気化学センサ検出 リアルタイム表示
(Amazon US) Temtop Air Quality Monitor
Indoor Thermometer Portable AQI PM2.5, Temperature, Humidity
関連記事
「大気汚染 PM2.5 山火事」
関連ブログ
「山火事の煙がカナダからアメリカ北中部に流入中」
関連写真
(写真)ボルダーカウンティーで,1,084棟全焼被害を引き起こしたコロラドの大火災の煙(避難する前の家の前の様子).家族で数日避難しました.
この火災では,ルイスビル市,スペリアー市で,計1,084棟の家が全焼しました.