(写真)2種の測定器によるラドン測定値の比較
はじめに
オフィスのスタッフから,地下でラドンを計測したら 12 pCi/L を超えるかなり高い値が出たので,本当かどうか確認するため他の測器と比較したい,とのことで私のラドン計測器で一緒に比較してもらいました.
スタッフは地下室で毎日ランニングマシン(treadmill)で運動しているとのこと,こんな大きなラドン濃度値だと,ラドンから変わった子孫核種の放射性ポロニウム(218),放射性鉛(214)による内部被曝が心配になります.
なぜラドンは危険なのか
下の図は,ウランの放射性崩壊に起因するラドン生成の流れです(Radioactive Decay, EPA)
ウランから始まる放射性崩壊の過程の1つにラドン222があります.
ラドンは固体でなく気体なので家の中で空気として存在でき,かつ重い元素なので家の中でも下の方に滞りやすくなります.
考えられる健康被害は,まず,ラドンを吸った後にそれが,ポロニウム,放射性鉛などの次のレベルに放射性崩壊します.
それらが気体でなくなることから,呼吸で肺から出ていけないため体内に残り,それらから発生するα波(ヘリウム4,陽子2個と中性子2個,+に帯電)による体内の内部被爆です.
ラドン測定器の計測値と危険度
EPA(Environment Protection Agency 環境保護庁)によると,ラドン濃度レベルが
> 4 pCi/L (ピコキューリー / 1L当たり)
以上ある場合,何らかの対策をするよう推奨しています.
また,ラドンレベル
> 2 〜 4 pCi/L
であっても,何らかの対策を検討することを勧めています.
参考リンク: What is EPA's Action Level for Radon and What Does it Mean?, EPA (US Environment Protection Agency)
上で紹介した 12 pCi/L はかなり危険そうな値です.
ラドン測定器の計測値の比較
比較は現在の「瞬間値」でなく,1週間の長期間の平均値で行われました.
左のスマホ表示のものは,スタッフの計測器(写真右上の黒いボックス)の測定値,右下は私の計測器の表示です.
これらのラドン計測器は瞬間値の表示の他,1日平均,7日平均を表示する機能があります.
結果は,瞬間値だと差異が大きく,1週間だと2つの測定器ともほぼ同じ値を示したそうです.
レポートによると,それぞれの1週間値は,
黒ボックス+スマホ版測定器: 5.3 pCi/L
私の測定器:5.32 pCi/L
となりました.
これは地下室のトイレの換気扇を24時間回し続けていた場合の値だそうです.
トイレの換気扇を付けるだけでも大分改善されてはいるものの,まだ EPA 推奨値レベル以下にはなっていません.
高いラドン濃度の原因
スタッフの家の地下で,12 pCi/L の高いラドン濃度となる原因として考えられるのは,密封性が良いこと.
彼の家は新築で密封性がとても高く,それ故熱効率が良くなっています.
そのため,気体の中でも重いラドンは地下に溜まりやすくなっていると推測されます.
彼の家は,丘の上の部分に建っていて,外から見ると,地下のラドンが貯まりにくそうに見えますが,そうではないようです.
逆に,私の家の地下はラドン排気扇が設置していて通気性が良いのでラドンが貯まる前に外に排気されるので,1~2 pCi/L のラドンしか観測されないと推測されます.
通気性が良いので,冬に暖房をかけても地下の部屋は1,2階より 5℃ほど寒いです(冬季で仕事の時は,足用暖房毛布を利用し,かつ毛布2枚使ってます).
また熱効率が悪いので,冬のガス代(暖房用)は高くなります.
関連情報リンク
放射線防護に用いる量と単位 ~第1回 ベクレル~,首相官邸
Where Is Radon Found?,ATSDR (Agency for Toxic Substances and Diseace Registry)
環境省 ラドンお飛びトロンの吸入による内部被曝
Radioactive Decay, EPA (Environment Protection Agency)
(アマゾン ジャパン) ラドンガス検知器 国際バージョン (Bq/m)
AirThings製 Corentium Home
(Amazon US) Airthings ラドン計測器
Airthings Corentium Home Radon Detector
関連記事
「Radon ラドン」
コメント